協議離婚

 夫婦は、話し合いにより離婚をすることができます。  これを「協議離婚」といい、離婚全体の約90%はこの「協議離婚」により離婚を成立させています。  国により離婚の手続は異なりますが、当事者の意思のみで離婚を成立させるこの制度は、スウェーデンなどの北欧の国や隣国である韓国・中国などでは認めていますが、多くの国では行政機関や裁判所による関与(裁判離婚)を要求し、外国人が日本で協議離婚を成立させた場合、本国では離婚の成立を認めないこともあります。 また、離婚を認めていない国も存在します。

協議離婚の手続と要件

 「協議離婚」は、夫婦が離婚する意思があり、合意があればいつでも離婚を成立させることができ、離婚の理由や原因などは問われません。

離婚の実質的要件・・・夫婦の離婚の意思の合致

離婚の形式的要件・・・離婚届を提出し、審査の上、受理されると戸籍に記入されます。 未成年の子がある場合には、夫婦どちらか一方を親権者と定めなければならず、離婚の合意があっても親権者が定まっていない場合は、離婚届は受理されません。
また、離婚後も夫婦共同親権とする離婚届は受理されません。  親権者について協議が整わない場合は、親権者の指定を求めて調停や審判を申し立てることになります。  なお、離婚の意思は離婚届への署名のときだけでなく、届出のときにも必要となり、「協議離婚」の離婚効力発生は、離婚届の受付日からとなります。

子の監護に関する必要事項の定め・・・平成24年4月から改正民法が施行され、協議離婚をする場合、子の監護をする者、子の監護に要する費用の分担、面会交渉や子との交流について定めることが条文で明記されました。 さらに、これらを定める際は、子の利益を最も優先して考慮しなければならないことも明記されました。 また、この協議が整わないときは、家庭裁判所が定めたり、子の監護上必要な処分を命じたりできます。

協議離婚の進め方

離婚することについて合意

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財産分与、子の親権者・養育費、慰謝料についての話し合い。
① 未成年の子がいる場合、親権者を定める。
② 未成年の子がいる場合、養育費の支払いについて定める。
③ 婚姻中に形成した財産の分け方を話し合う。
④ 離婚原因が一方に責任がある場合には、他方の精神的苦痛に対する慰謝料の支払いについて話し合う。
財産給付の額は、支払う者の所得・資産と受取る者の必要額を総合的に考慮しなければなりません。  支払う者の生活ができなくなるような多額の財産給付を求めても意味がなく、特に子の養育費の支払いが不能となるようなことになれば意味がありません。

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離婚協議書の作成・・・話し合った内容を文書として残す。

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公正証書の作成・・・養育費、慰謝料、財産分与などの支払いを確保するために、「強制執行認諾条項」のある公正証書を作成する。

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離婚届の記入と提出・・・早く離婚したいからといって、上記の手続を経ないで、離婚届をするのは後で紛争を招きますので、離婚届は最後に記入・提出して下さい。

離婚の合意はできていても、子の親権者を誰にするか、財産給付についての合意ができない場合には、調停を申し立てることになります。

なぜ公正証書を作成するか

 協議離婚により離婚を成立させた場合、子の養育費や財産分与、慰謝料等の財産給付について取り決めをします。   一括でこれらを支払ってもらっている場合はよいのですが、月々分割で長期にわたって支払いを受ける場合には、これらの約束を将来においても確実に守ってくれるという保障はありません。  こういった約束を確実なものとするために、「公正証書」を作成しておけば、その執行力により支払いを確保することができます。  特に長期の支払いとなる子の養育費についての取り決めをする場合には公正証書を作成するのが有効です。

強制執行認諾条項・・・公正証書を作成する場合、「○○は、○○○○の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。」という「強制執行認諾条項」を設定しておくと、養育費などの支払いをしないときには、地方裁判所に強制執行を申し立て、相手方の動産、不動産、給料などを差し押さえることができ、その支払いを確保することができます。

(協議離婚届)不受理申出制度

 本人に離婚の意思がないにもかかわらず、相手方又は第3者が一方的に離婚届を提出して受理されれば、戸籍に記載され離婚が成立してしまいます。 これを無効として戸籍の記載を訂正するには離婚無効確認の裁判による判決を得なければなりません。 これを防ぐには次のような対応が必要になります。

「不受理申出制度」・・・婚姻や離婚などをする意思がないのに、又は、婚姻や離婚の届出書に一旦は署名捺印したが、後になってからその意思をひるがえした者は、市区町村長に対して、婚姻届や離婚届があったときは受理しないように申出ることができる制度です。  婚姻や離婚は、届出のときにも「婚姻する意思」「離婚する意思」が必要とされるため、この申出をしておくと、当事者の意思に反して提出された届出は受理しないものとされます。

不受理申出制度を利用できる届出・・・「婚姻」「協議離婚」「養子縁組」「協議養子離縁」「認知」

申出人、申出方法・・・届出の当事者(本人)が、書面でしなければなりません。
本人以外は受け付けてくれませんし、郵送での受付もしません。

申出先・・・申出人の本籍地の市区町村役場。  本籍地以外でも受付します。

審査方法・・・市区町村長による申出書類についての形式的な審査が行われると共に婚姻・離婚等に関する意思の有無について、本人の出頭による手続きである事を確認する為、運転免許証や住基カードなどの提示による本人確認の審査があります。

不受理期間・・・申出を受け付けた日から「不受理申出取下書」の提出があるまでの期間は不受理とされます。  取下書を提出しない限り不受理となりますので、真意の離婚届出についても受理されなくなりますので注意が必要です。
注:この制度は平成20年5月に法改正があり、以前は不受理期間を6ヶ月以内の一定期間と定めていましたが、期間は撤廃されました。

申出取下・・・不受理期間中はいつでも取り下げができますが、申出人から取下書を提出する必要があります。

婚姻届や離婚届が誤って受理された場合・・・婚姻意思・離婚意思のない届出なので無効ですが、婚姻無効・離婚無効の申立をして確定判決(審判)を得た上でなければ戸籍を訂正することができません。

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