離婚

 婚姻届をしていない夫婦が関係を解消するのは「離婚」ではないし、夫婦のどちらか一方が死亡している場合には「死亡による婚姻の解消」となりますので、「離婚」とは、婚姻届をして有効に成立した婚姻を、夫婦の両方が生きている間に将来に向かって解消することをいいます。
「離婚」は、法的に成立した「婚姻」を解消するのですから、「婚姻」の場合と同様に「離婚」についても一定の要件や手続が必要となります。

離婚の効果・・・「離婚」が成立した場合は、婚姻によって発生した「同居義務」「生活保持義務」「貞操義務」などは将来に向かって消滅します。
しかし、未成年の子の親権者や養育費については将来的に取り決めておく必要があり、一定範囲においてその義務が残ります。

内縁・・・「婚姻届」をしていないような「内縁」の場合には「離婚」ではないのですが、財産分与・慰謝料などは、一定要件の下「離婚」の場合と同様に扱われる場合があります。

離婚に対する意識調査・・・内閣府国民生活局の平成16年度の「国民生活選好度調査」によれば、離婚を肯定する「問題のある結婚生活なら早く解消した方がよい」と「自分の生き方を大切にするようになったことの反映である」と回答した人の割合が41.4%となっており、平成4年の33%から増加しています。   離婚を肯定する人の割合を男女別に見ると、男性は平成4年27%→平成16年33.9%、女性は平成4年38.3%→平成16年48.2%となっており、男性に比べ女性の方が離婚を肯定する割合の増加率も大きくなっています。  特に女性では「自分の生き方を大切にするようになったことの反映である」との回答が平成4年3.9%→平成16年12.7%と急増しているのが特徴的です。

離婚が与える影響・・・アメリカの調査によれば、離婚した親の子は、学業成績が悪く、成人してからの社会的地位も低く、自分の結婚も失敗しやすいなどの影響があるそうです。 また、子供が犯罪者になる確率が高く、未婚の母になる確率が高いようです。 さらに、離婚している人は、結婚している人に比べて寿命が短くなるそうです。 夫婦仲良く暮らしている方が、子を養育する上で良いでしょうし、生活も安定し、余計なストレスをかかえなくて済むからではないでしょうか。 上記の「離婚に対する意識調査」のなかの「問題のある結婚生活」を我慢する場合のストレスと離婚した場合のストレスを比較したとき、長期的に見た総合的な評価としてはどうなるんでしょうか。

離婚を決める前にすること

 離婚を決心する前に、長期的な視点に立った「離婚することのリスク」と「離婚しないことのリスク」を比較考慮し、夫婦間での話し合うことが必要です。
「離婚することのリスク」は離婚してしまえば当然に発生します。 しかし、「離婚しないことのリスク」は、一度は生涯を共にすると誓った相手なので、話し合うことにより回避できる可能性があるかもしれません。  当事者同士だけでは、感情的になり話し合いができないような場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

夫婦円満回復に向けた「夫婦関係円満調停」・・・調停は、下記の離婚に向けての話し合いをする「離婚調停」以外に、円満な夫婦関係を回復する為の話し合いの場として利用することができます。 離婚しないで夫婦関係を改善したいと希望する場合は当然として、離婚した方がよいのか迷っている場合などにも利用できます。
この調停では、夫婦関係が円満でなくなった原因を探り、当事者がどのように努力すれば夫婦関係が改善するかの解決案を提示したり、助言したりして夫婦関係を回復する方向で進められます。 まずはこの制度を利用して第3者の客観的な意見に耳を傾け、冷静に話し合う機会をつくってみてください。 

離婚手続の種類

 離婚手続には、離婚の合意の仕方や裁判所の関与の有無において、以下のような種類があります。

「協議離婚」・・・夫婦が話し合いにより離婚を成立させます。 裁判所の関与は一切なく、当事者のみで成立させます。 離婚全体の約88%がこれにより成立しています。

「調停離婚」・・・離婚について夫婦の話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を交えて離婚の合意に向けて話し合いをします。 合意ができれば「調停調書」が作成され離婚が成立しますが、合意できなければ調停が終了します。 離婚全体の約98%は「協議離婚」「調停離婚」により離婚が成立しています。 

「審判離婚」・・・調停離婚の申立には、親権者指定や財産分与等が同時に申し立てるのが一般的ですが、離婚の合意はあるものの、財産分与等などのわずかな要因で調停が成立しない場合において、家庭裁判所の判断で離婚の審判をすることができますが、この審判に不服がある場合には、異議申立をすれば審判の効力はなくなります。

「裁判離婚」・・・裁判上の離婚原因に該当している場合には、訴えにより裁判によって離婚を成立させることができます。 原則として、いきなり裁判を提起することはできず、調停を経てすることになります。(調停前置主義)
裁判離婚に関係するものとして、判決前に離婚の合意を成立させる「和解離婚」や「認諾離婚」というものがあります。  裁判の判決によるより、当事者の合意による解決の方が望ましいので認められたもので、「和解離婚」は、裁判途中で離婚の合意が成立した場合、判決と同じ効力を持つ「和解調書」が作成され離婚が成立します。「認諾離婚」は、訴えた側の言い分を承諾して離婚を成立させるものです。

家事事件の手続き係わる体系図

下図は家事事件について法律上の手続きや概要を示したものです。 何だかややこしいですが、離婚全体の9割近くを占める「協議離婚」には関係ありませんし、裁判所が関与するにしても、ほとんどが「調停離婚」により離婚が成立しているので、特に気にする必要はありません。
できれば「協議離婚」により当事者の合意を図るのがよいと思われます。 行政書士は、協議離婚について「離婚協議書」や「離婚給付契約公正証書」作成についてのご相談に応じる事ができますが、紛争性がある場合についての調停の申立や裁判所への訴訟提起についてはお近くの弁護士へご相談ください。

kajijiken

裁判上の離婚原因と離婚の判断基準

5つの離婚原因・・・民法では、離婚の訴えをする場合について5つの離婚原因を認めています。 なお、①~④に該当する場合であっても、一切の事情を考慮して、離婚請求が棄却される場合もあります。
① 配偶者が(自分の意思で)不貞行為を行ったとき = 貞操義務違反
配偶者以外の者と性的関係を結ぶ事をいい、強姦した場合、金銭の授受による性的関係も不貞行為に該当し継続性は問われません。 自分の意思で不貞行為を行った場合が該当するので、強姦された事は不貞行為には該当しません。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき = 配偶者の同居・協力・扶助義務違反
置き去りにする行為、家から追い出す行為、家に入れない行為は該当します。 これらが原因で婚姻関係が破綻する場合が該当し、夫婦関係が破綻してからの別居はこれに該当しない。
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
生存しているが単に居所がわからない行方不明は、これに該当しない。
7年間生死不明の場合には、失踪宣告の要件を満たし婚姻関係の解消となる。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
婚姻関係を継続する事ができない程度の強度の精神病の判断は、専門医の鑑定によります。
しかし、強度の精神病であったとしても、今後の療養や生活について具体的な解決方法の見込みを要件として離婚を認める考え方を採用していますが、看護する配偶者の生活状況等についても考慮されます。
⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
性格の不一致、暴力、家族親族との折り合いが悪い、性交拒否・性交不能、過度の宗教活動、浪費や勤労意欲・生活能力の欠如などの原因により婚姻関係が破綻しているような場合が該当しますが、裁判官の判断に委ねられる性質のもので、婚姻継続の意思、子の存在、年齢、資産状況等の一切の事情を考慮して判断されます。

離婚原因の判断基準の傾向・・・離婚を認める判断基準は、以前は、同居・協力・扶助義務違反や貞操義務違反などの道義的・倫理的な責任を問題としていましたが、現在では、当事者の責任はあまり問題とせず、別居年数婚姻関係の回復の見込みなど婚姻関係の破綻の程度を離婚原因の基準とするようになっています。  実体のない婚姻関係をあえて継続する必要性・合理性はないので、離婚を認めた方が当事者にとっても利益となることだからです。   よって、婚姻関係が破綻している場合には、離婚原因をつくった配偶者からの離婚請求であっても離婚が認められることもあります。  その反面、「離婚」は夫婦だけの問題にとどまらず、子に対する影響力が大きいことから、子がある場合には子の養育監護などの福祉の面から、離婚が配偶者や子に著しい生活の困窮や苦痛をもたらすときは離婚請求を認めない場合もあります。

裁判離婚申立動機

 下欄は2008年度の家庭裁判所に離婚を申し立てた動機です。 夫・妻とも申立動機は「性格が合わない」が圧倒的に多く、俗に言う「性格の不一致」となっています。
人と人が接する場合、自分にとって都合の良いところは長所として、自分にとって都合の悪いところは短所としてみる傾向があります。 誰しも客観的に物事を見ることは難しいものだと思います。

妻の離婚申立動機 順位 夫の離婚申立動機
性格が合わない=44.2% 性格が合わない=62.1%
暴力をふるう=29.4% 異性関係=18.2%
異性関係=26.1% 家族・親族との折り合いが悪い=15.7%
生活費を渡さない=23.5% 異常性格=14.5%
精神的虐待=25.0% 精神的虐待=13.7%
浪費 性的不満
家庭を捨てて省みない 浪費
家族・親族との折り合いが悪い 同居に応じない
酒を飲み過ぎる 暴力をふるう
異常性格 10 家庭を捨てて省みない
性的不満 11 病気
同居に応じない 12 酒を飲み過ぎる
病気 13 生活費を渡さない
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