成年後見制度

「成年後見制度」とは、知的障がい、精神障がい、認知症などにより判断能力が十分でない人を保護する制度です。 障がいのあるご本人の「自己決定権の尊重」、「現有能力の活用」というご本人の意思や残存している能力は最大限尊重され、障がいのある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念(ノーマライゼーション)のもと制度がつくられています。

統計
成年後見人制度を利用するきっかけとしては、「財産を管理又は処分する」が半数を占め、次いで「身上監護の必要性から」、「遺産分割協議の為」、「介護保険契約の為」となっています。 全体の約6割は、配偶者・親・子・兄弟姉妹などの親族が、後見人(支援者)となっており、子が全体の3割程度を占めています。 残り4割が弁護士や司法書士などの第3者で、第3者は年々増加傾向にあります。

後見とは

【後見】とは
 判断能力が不十分な方に代わって介護契約・施設入居契約などの法律行為をすることができる「代理権」、判断能力が不十分な方が支援者の同意を得ないで行った借金、保証人になるなどの法律行為について取り消しができる「同意権」「取消権」などを行使し、判断能力の不十分な方の財産管理するとともに身上監護をすることをいいます。
判断能力の低下度合いより支援者の権利は異なりますが、支援者はこれらのことをご本人に代わってすることができます。
ただし、日用品を購入するなどの日常生活に関することについては、ご本人は自由にできますし、ご本人の権利を剥奪するものではありません。
【後見の対象者】
 後見制度は、知的障がいや精神障がい、認知症などの判断能力が十分でない方を対象として保護する制度です。 歩行困難で車椅子の生活をする人や指が自由に動かず文字が書けないなどの単に身体機能のみの障がいはその対象となりません。
【財産管理】とは
 判断能力の低下した方の財産を保存・維持し、財産の性質を変えないで利用・改良を目的とする行為や財産の処分行為をいいます。 ちょっと難しい表現ですが簡単に言ってしまえば、ご本人の財産をご本人の為に保護し、ご本人の為に適切に使うということです。 ご本人の為に必要とされる支出しか認められませんので、支援される人の預金通帳や印鑑を預かっているからといって、支援者は自由に使うことができると思ったら大間違いです。 支援者が自分の為に使うなどということは当然認められませんし、ご家族の為に勝手に使うことも許されません。 親族が後見人となる場合には、これらが問題となることがあります。 
【身上監護】とは
 後見人等となった支援者は、財産管理と身上監護に務めますが、食事の世話や排せつ等の介助までもするということではありません。 判断能力の低下度合い、生活状況などを把握し、どのような介護や支援が必要かなどを介護関係事業所・施設などと相談し、最も適切な介護サービスをご本人に代わって選択判断し契約することが後見人となった支援者の務めとなります。

成年後見制度の種類

 成年後見制度には、【法定後見制度】と【任意後見制度】の2種類の制度があります。

【法定後見制度】
 判断能力が低下した、精神障がい等になってしまった場合に家庭裁判所に審判を申立て、障がいの程度により支援者を選任してもらう制度です。
【任意後見契約制度】
 判断能力が十分備わっているうちに、将来発生するかもしれない認知症などに備えて、あらかじめ支援者(任意後見人)を決めて「任意後見契約」を結んでおき、認知症などにより判断能力が低下したときには、支援者(任意後見人)が、財産管理や身上監護をしてくれるものです。 判断能力が十分備わっている内に、ご本人の判断で支援者や支援の内容を自由に決めておくことができます。 なお、高齢者に限らず事故や災害にあって判断能力が低下して精神障がい者となったときに備えてこの制度を利用することもできます。

<参照リンク:任意後見契約制度>

法定後見制度

 配偶者や4親等内親族などが、障がいの程度によって「後見開始」・「保佐開始」・「補助開始」の審判を家庭裁判所へ申立て、審判で後見開始・保佐開始・補助開始の審判があると、同時に、支援者として「後見人」・「保佐人」・「補助人」が選任され後見が開始されます。 成年後見制度の審判で最も多いのは後見開始で全体の80%程度を占め、被後見人(支援される人)は男性で約60%、女性で約85%が65歳以上の高齢者です。 その他「保佐開始」が約10%、「補助開始」が約5%程度となっています。

【後見・保佐・補助】
 法定後見は、障がい・判断能力の程度によって「後見」、「保佐」、「補助」に区分されますが、主に財産管理面における能力が重視されて家庭裁判所の審判により決定されます。 支援者が支援する範囲もそれに応じて審判により決定されます。 ご本人の残存能力を活用するという観点から障がい程度が軽いほど支援する範囲は制限されます。 なお、障がいの程度の重い順に 後見 > 保佐 > 補助 となっています。
【成年後見人・保佐人・補助人】
 家庭裁判所の審判で後見・保佐・補助が開始されますと、それぞれその支援者として成年後見人・保佐人・補助人が家庭裁判所で選任されます。 支援者の候補者として親族を推薦することもできますが、必ず候補者が選任されるとは限らず、弁護士や司法書士、行政書士、社会福祉士などが支援者として選任される場合もあります。
【家庭裁判所への申立て】
 後見の開始は家庭裁判所への申し立てにより審理・審判されます。 家庭裁判所への申立ては、法定された申立権者が、申立書に戸籍謄本、診断書、親族関係図、財産目録、財産や収支の証明などの資料を添付して行います。

<参照リンク:後見審判申立て親族図>

adicon 家庭裁判所への申立て手続きについては、行政書士は代理人として申立てすることはできません。 親族の方がご自身で申立てされる場合には、後方支援として、家庭裁判所へ提出する書類作成などのご相談に応じる業務を受任することができます。

後見制度の経緯

平成12年3月以前は、精神上の障がいのある方は、「禁治産者」、「準禁治産者」という呼び方をされ、「財めることをじられた」という意味により、差別的に扱われていた面がありました。 家庭裁判所でこの宣告を受けると、夫婦の場合には、必ず配偶者が後見人・保佐人となり、「禁治産」、「準禁治産」の宣告を受けた者の戸籍にその旨が記載されていました。
平成12年4月以降は、新たな成年後見制度が施行され、従来の「禁治産」は「後見」、「準禁治産」は「保佐」とみなされ、それ以外に新たに軽度な精神上の障がいについて「補助」を加えました。 また、戸籍への記載を廃止し、東京法務局のコンピュータに記録する登記制度へと変更されました。 今まで戸籍へ記載された「禁治産」、「準禁治産」は、申し立てにより「後見」、「保佐」の登記がされると、その記載のない戸籍が編成されます。

このページの先頭へ戻る